Ingrid Sweater|海外パターンの記録
私が編み物を始めたのは、小学3年生の頃。
母に教わりながら、メリヤス編みでマフラーを編んだのが最初でした。
当時は数段編んでは放置し、思い出した頃にまた少し編んでは放置して……。
完成までに1年以上かかったので、手加減もバラバラ。太いところがあったり、硬いところがあったり。
それでも、自分の手で最後まで編み上げたことが本当に嬉しかったのを覚えています。
その後も興味はいろいろなものへ移り変わりましたが、編み物と向き合う時間の心地よさだけは、なんとなく心のどこかに残っていました。
「おばあちゃんになったら、きっと私は編み物をしているんだろうな。」
子どもながらに、そんなことを思っていたのを覚えています。
その後も時々編み物はしていましたが、いつしかすっかり離れ、気づけば何年も編み針を手に取ることはありませんでした。

そんな私が再び編み物に出会ったのが、デンマーク留学です。
夜になると、男女問わず誰かが編み物をしている。
そんな光景が、ごく自然にそこにありました。
その景色を見た瞬間、忘れていた感覚が一気によみがえりました。
「ああ、この時間が好きだったんだ。」
編み物をしていると、不思議なくらい気持ちが整います。
落ち着かないときは、つい歩き回ったり、何かを触ってしまったりすることがあります。でも編み物をしていると、そのソワソワした気持ちが編み目の中へ少しずつ溶けていくようで、気づけば温かく穏やかな気持ちになっているのです。
心地よい空間で、みんなと静かに編み物をする。
そんなヒュッゲな時間こそ、私がずっと好きだったものなのだと改めて気づきました。
その頃に出会ったのが、世界中で愛されているデザイナー PetiteKnit(プチニット)さん の Ingrid Sweaterでした。
写真を見た瞬間、「絶対にこれを編みたい!」と雷に打たれたような衝撃を受けたことを今でも覚えています。
すぐに毛糸を買い、編み始めました。

海外パターンに挑戦するようになったのも、この頃から。
セーターを編むのも初めてだったので、ワクワクすると同時に、「本当に私に編めるのかな」という不安もありました。
幸運なことに、留学先で出会った日本人の友人が普段から海外パターンを編んでいる大先輩だったため、不安な部分を教えてもらいながら、一歩ずつ編み進めました。
寮の部屋で編み針を手に取り、「今日はここまで」「明日はこの部分に挑戦してみよう」と少しずつ進める毎日。その時間そのものが楽しくて、今では大切な思い出になっています。

模様がたくさん入ったセーターなので難しそうに見えますが、実際の構成はとてもシンプル。
肩など形が複雑な部分は1段1段指示に従い、その後は編み図を見ながら編むようなスタイルです。
模様編みの解説をしながらスワッチを編む動画もあるので、模様編みが心配な方も挑戦しやすいと思います。
こうして完成したのが、私にとって初めてのセーターでした。

Pattern:
“Ingrid Sweater” by Petite Knit
yarn:
PERMiN / Sarah / Red 270m/50g ×2本
+
Mayflower / Super Kid Silk / color 34 195m/25g
Needle:
3.5mm, 3mm, 2.5mm

絶妙なネックの立ち上がりと、どっしりとしたシルエットが本当にかわいい一着。
体によくなじみ、とても着心地が良く、今でもお気に入りのセーターです。

この一着をきっかけに、海外パターンを編む楽しさを知りました。
少しずつオリジナルデザインを考えるようになり、やがて自分でもパターンを発表するようになりました。
好きという気持ちに導かれて、一歩ずつここまで歩いてきたように思います。
そして今では、オリジナル糸 murmur(マーマー) を作ることができました。

せっかくなので、この思い出の Ingrid Sweater を、murmurでも編んでみることにしました。


Pattern:
“Ingrid Sweater” by Petite Knit
Size XS
Yarn:
murmur | HELLO, HYGGE LIFE Blue × Blue
400g
Needle:
4.0mm, 3.5mm, 3.0mm
murmurは少し細めの糸なので、4.0mm針で編むとゲージは約22目×32段。(実際のパターンは20目×30段)
仕上がりはオリジナルより約90%ほどのサイズ感になりました。
パターンと同じくらいのサイズ感で着たい場合は、1〜2サイズ上を選ぶのがおすすめです。

今はAIという心強い味方もいるので、英語パターンへのハードルは以前よりずっと低くなりました。
世界には、本当に素敵なパターンがたくさんあります。
このシリーズでは、これまで編んできた海外パターンを一つずつ振り返りながら、その魅力や編んでみて感じたことを記録していこうと思います。
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あの日、「これを編みたい」と思った気持ちが、少しずつ今につながってきました。
Ingrid Sweaterは、これからも私の編み物人生の原点として、特別な一着であり続けると思います。