紡いだ糸で、猫への贈りもの
編み物が大好きな私たちですが、まだまだ知らない世界がたくさんあります。
普段は、思い浮かんだ形をパターンに頼らず自由に編み進めるのが好きで、セーターを作ったり、カーディガンを作ったり・・・心のままに作品づくりに夢中になってきました。
その一方で、糸を紡いだり、植物で染めたりと、素材づくりから始まる手仕事にはなかなか挑戦する機会は無く、なんとなく時間が過ぎていきました。でも実は、ずっとずっと憧れていたのです。
そんな中、思いがけず素敵な機会が訪れました。
先日スウェーデンを旅した際、友人が通うカペラゴーデンで、羊毛を糸にする体験をさせてもらったのです。
カペラゴーデンは、テキスタイルや木工、ガーデニング、ビルディングメンテナンスなど、暮らしにまつわるデザインを学ぶ学校です。
けれど、日本で思い浮かべる「学校」とは少し違いました。
先生が一方的に教えるのではなく、自分が作りたいものを形にしていく中で、困ったことや悩みがあれば一緒に考えてくれる場所。
学生というより、一人の作り手として尊重されながら、作品作りに没頭する姿がとても印象的でした。
そして、もう一つ心に残ったのは、素材づくりからものづくりに携われることです。(だからこそ、この学校を選ぶ人も多いのだそう。)
テキスタイルを学ぶ友人は、学校にある大きなくるみの木から染料を採り、自分で糸を染めていました。
羊毛も、近所のおばあちゃんが洗ってくれたものを分けてもらい、自分の手で紡いで糸にしています。
素材を知り、その素材と向き合いながら作品を作る。
その姿勢はとても自然で、そして美しく感じられました。
私たちも数日間、その学校で羊毛を紡ぐ体験をさせてもらいました。



くるくると縮れた羊毛をカーディングして、ふわふわの綿のような状態に整える。
それを少しずつ撚りながら糸にし、カセにまとめ、お湯に浸し、乾かして、最後に玉巻きをする。
一本の糸ができあがるまでには、本当にたくさんの工程があります。
でも、そのひとつひとつの工程は、不思議なくらい心が満たされる時間でした。

日本に帰ってきてからも、完成した糸を眺めながらニヤニヤ。
「この糸で何を編もうかな」と考える時間も、幸せなひとときでした。
市販の糸よりもひつじの香りがしっかり残っていたからでしょうか。
猫たちが興味津々。
気付けば隙を見ては糸に顔をすりすりしています。
そんな姿を見て、「そうだ、この糸で猫たちのまくらを作ろう」と決めました。
猫用のまくら(約38cm × 16cm)
用意するもの
- 約38cm × 16cmの編地
- ランチョンマット 1枚
- 綿 約150g
- とじ針


Step1
編地を作ります。
自分で紡いだ糸は太さがバラバラ。その不揃いさがとても愛らしかったので、風合いをそのまま楽しめるよう8.0mmの針でガーター編みにしました。
少し台形になってしまいましたが、縫い合わせるときに内側へ折り込めば大丈夫です。


Step2
ランチョンマットを細長い袋状になるよう縫い合わせます。
このランチョンマットは、スウェーデンのセカンドハンドショップで見つけたもの。
かわいくて思わず買ったものの、何に使おうか決められずにいました。
でも、猫のまくらにぴったりのサイズ。「この日のためだったのかも」と思えるような出会いでした。
ざっくりとした生地だったので、毛糸ととじ針で縫い合わせています。

Step3
先ほど縫ったランチョンマットの上に、編地を縫い付けます。(縫い合わせた面を隠すように)
形が少しいびつな部分は内側へ折り込み、きれいな長方形になるよう整えながら縫っていきます。
Step4
綿を詰めて、両脇を縫い閉じたら完成です。



インテリアにもなじむ落ち着いた雰囲気に仕上がりました。
表も裏もお気に入りの生地なので、気分が上がります。


さっそく猫たちに使ってもらうと、なんだか気に入ってくれた様子。
……と思ったのですが。
数日後には、誰も使ってくれなくなり、まくらだけがぽつんと置かれている日が続いています(笑)。
それでも、猫たちのことを思いながら何かを作る時間は、とても楽しいものです。
少し報われなくても、それもまた恋のようなものかもしれません。
猫たちの一軍入りはできませんでしたが、自分で紡いだ糸から何かを作れたことは、とても心地よい経験でした。
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今回の体験を通して、普段とは違う手仕事に触れたことで、新しいアイデアが次々と湧いてきました。
何を作ろうか迷ったときや、アイデアが煮詰まったときこそ、自分の知らない手仕事に触れてみる。
そんな時間は、少し立ち止まって自分と向き合い、「次はこんなことをやってみたい」という、小さな一歩を踏み出すきっかけをくれるような気がします。
整然と整えられたものには、その美しさがあります。
一方で、手のぬくもりを感じる手仕事には、また違った美しさと愛おしさがあります。
どちらかを選ぶのではなく、そのどちらも楽しみながら、ものづくりを続けていけたら。
これからも、日常の中にある小さな豊かさを探しながら、編み物を楽しんでいきたいと思います。
