ゆっくり朝ごはんを食べてみる
北欧をめぐる旅の途中、
友人の家で数日間を過ごす機会がありました。
彼女のお家があるのはスウェーデンの島・ Öland(エーランド島) 。
エーランド島は、スウェーデンの人々がサマーハウスを持ち、夏の間を自然の中で過ごす場所として親しまれています。
彼女が暮らしていた家も、もともとは持ち主の方が夏を過ごすために所有している小さな家でした。
オレンジ色の三角屋根に白い壁、小さな煙突が付いた、まるで絵本に出てくるような佇まいです。

旅の間に見た景色はいろいろあります。
美しい街並みや歴史ある建物、どこまでも続く広大な自然。
どれも素晴らしかったのですが、今でもよく思い出すのは観光地ではなく、友人の家で過ごした何気ない朝の時間です。

鳥のさえずりで目が覚めると、窓の外にはライラックの花。
朝の光がやさしく部屋に差し込みます。
ゆっくりと目覚めると、キッチンからコーヒーの香り。
友人は朝ごはんの準備をしていて、パンを並べたり、マグカップを用意したり。
私も手伝いながら、みんなで食卓を囲みます。

窓の外を眺めながら、「今日は何をする?」「昨日は楽しかったね」とたわいもない話をする。
コーヒーを淹れて、パンを並べて、ゆっくりと朝ごはんを食べる。
特別な何かがある訳ではありません。
それでも、不思議なくらい心が満たされる時間でした。
振り返ってみると、その時間には「急ぐ理由」がありませんでした。
次の予定を気にすることもなく、スマートフォンを眺めることもなく、ただ目の前の朝ごはんと会話を楽しむ。
そんな時間がとても新鮮だったのです。
日本で暮らしていると、朝はつい効率を優先してしまいます。
起きて、支度をして、仕事に向かう。
朝ごはんも「楽しむもの」ではなく、「済ませるもの」になりがちです。
だから今日は、北欧から持ち帰った食材と一緒に、あの朝の時間を思い出しながら、ゆっくりとごはんを食べてみることにしました。
北欧と同じ景色はなくても、同じ家ではなくても、朝の過ごし方なら少しだけ持ち帰ることができる気がしたのです。

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ここからは、スウェーデンで購入した食材たちを紹介します。

レクサンズ クネッケブロード(Leksands Brun Gräddat)
このクラッカーのようなものは、ライ麦を主原料としたスウェーデンの伝統的な薄焼きパンです。
パリッとした食感と香ばしさが特徴で、今日はルバーブとイチゴのジャムとはちみつをつけていただきます。

ST. DALFOUR Jordgubb & Rabarber(ストロベリー&ルバーブ)
日本でも見かけるブランドですが、こちらはルバーブ入り。
ルバーブは北欧ではとても身近な食材で、ジャムやお菓子によく使われています。
少し梅にも似た爽やかな酸味があり、いちごの甘さとよく合います。

Bigård Birgitta のはちみつ
日本のさらりとしたはちみつと異なり、北欧で出会うはちみつはクリーム状が多い印象。
中でもスウェーデンで出会ったこのはちみつは、口に入れると細かな結晶の食感が感じられ、そのじゃりじゃりとした独特の口当たりがクセになります。


Kalles(カレス キャビア)
北欧の定番食材のひとつ。
たらこのような魚卵のペーストで、スウェーデンではゆで卵やパンと合わせて食べるのが定番です。おいしすぎて、このチューブが終わったらどうしよう、、と今からさみしい気持ちになっています。笑
塩気がしっかりしていて、日本人にもどこか馴染みのある味わいです。

Löfbergs Mellanrost(ローフベリス メランロースト)
北欧の暮らしに欠かせないもののひとつがコーヒーです。
スウェーデンは世界有数のコーヒー消費国として知られ、人々は「フィーカ(Fika)」と呼ばれるコーヒーブレイクの時間を大切にしています。
このMellanrostは中煎りのブレンドで、やわらかな苦味と穏やかな酸味が特徴。濃すぎず軽すぎず、毎日飲んでも飽きのこない味わいです。

お気に入りのコーヒーを淹れ、パンにジャムとはちみつをのせる。
それだけのことなのに、いつもより少しだけ時間がゆっくり流れるような気がします。
ふと考えてみると、豊かさとは特別なものを手に入れることではなく、「今ここにあるものを味わう時間」なのかもしれません。
あの時間には、友人たちとの会話や、窓から見える景色、コーヒーの香りをゆっくり楽しむ余白がありました。
日本で暮らしていると、「もっと頑張ろう」「もっと効率よく」と前へ進むことばかり考えてしまいます。
もちろんそれも大切なことですが、ときには立ち止まって、目の前の朝ごはんをゆっくり味わう。そんな時間も同じくらい大切なのだと思います。
お気に入りのマグカップを使う。
テーブルに小さな花を飾る。
スマートフォンを見る前にコーヒーの香りを楽しむ。
そんな小さなことでも、いつもの朝は少し違って見えるかもしれません。

忙しい日々の中でも、たまにはゆっくり朝ごはんを食べてみる。
1日のどこかに、ほんの少し余白をつくる。
北欧で過ごした朝は、暮らしを豊かにするのは特別な出来事ではなく、日々の小さな習慣なのだと教えてくれました。
あの日の時間を思い出しながら、
今日もまたゆっくりコーヒーを淹れようと思います。