デンマーク人はどうやってストレスマネジメントする?体をケアするのと同じように、心も定期的にクリーニングする、アーユルヴェーダ式リトリート

   

こんにちは、ERIです。

早いもので、フォルケホイスコーレで生活し始めて3週間が経ちました。
ここで過ごす期間が延びるに連れ、この学校こそまさにフォルケホイスコーレ=「生のための学校」だなぁという思いを強めています。

こんな風に書くと、「この人の通うフォルケホイスコーレはすごくフォルケホイスコーレらしい学校なんだろうなぁ」と思われるかも知れませんが、先日、過去にもこの学校に2週間滞在していたことのあるクラスメイトに意外な一言をもらいました。

「この学校は一般的なフォルケホイスコーレとは全然違うよ」と。

私の通うフォルケホイスコーレと一般的なフォルケホイスコーレの特徴

彼女が挙げていたこの学校のユニークネスは以下のようなことでした。

①個人が自由に過ごせる時間がものすごく多い
・欠席が認められる4つの理由がある(疲れている、どこかに行かねばならない、等相当ゆるい)
・授業時間がかなり短い(週平均23時間ほど)
・週末は原則何もイベントがない
ことなどが背景にあります。

一般的なフォルケホイスコーレは、もっと授業やイベント数が多く、出席にも厳しく、結果全員で過ごす時間が長いそうです。

②健康に大きな比重を置いている
・食事がオーガニックベジタリアン(アーユルヴェーダ式)
・22時就寝が推奨されている
・学内飲酒禁止

加えて、9月に見学した2校のフォルケホイスコーレと比較して、私の目から見ても違いを感じる点があります。

③生徒数が少ない、年齢層が高い
・私が参加している4ヶ月の長期コースは生徒10名強。前学期は5名前後だったとか。
・20代前半と思われる女性1名、30代と思われる生徒3名、40代前半1名、50歳前後5名、60歳以上3名という構成です。

9月に訪問したフォルケホイスコーレ2校は、生徒数が最大70名とかなり多く、自分と同じくらいもしくは年下の生徒が多い印象でした。(一般的なフォルケホイスコーレは、20歳前後の学生がボリューム層のようです)

④生徒層が特徴的
「心」をテーマにした学校であることもあり、大きなストレスを抱えている(もしくは過去に抱えていた)人が大半です。
うつ病を経験したことのある人、現在治療中の人も多数います。

皆すごく優しくて温かい人たちですが、気分のアップダウンが激しかったり、突然泣き出したり、大半の時間を部屋で一人で過ごすことも好む人もいます。

これらの事実は、一般的なフォルケホイスコーレの内情を書く気満々だった私にとっては少し残念なものでしたが(笑)、上記何点かを除き、この学校こそまさにフォルケホイスコーレを日本語で形容する時に多用される「生のための学校」にあたるなぁと日々感じています。

なぜ「生のための学校」だと言えるのか?

フォルケホイスコーレの父グルンドヴィの言う「生のための学校」とはニュアンスが異なるかもしれませんが、「豊かな人生を生きる」ことを目指すとき、体と心の健康は不可欠です。

そんなこと当たり前だと思われるかも知れませんが、「心身の健康」を保つ方法って中高の家庭科の時間や家庭での食事、その他耳にはさむ情報を通じてなんとなく分かった気になっているだけで、体系立った知識は持っていなかったりしませんか?

この学校では、以前紹介したVedic Psychologyを始めとする授業はもちろん、加えて前述したユニークな生活スタイルを通じて、「心身の健康」を実現する知恵を授けてくれるのです。

ある日のランチ

「心身の健康」に対するデンマーク人の関心

この学校の長期コースに参加する生徒が少なく、層もある意味特殊なことから、幸福大国デンマークでも自身の心や内面に対する関心は全体的にはそんなに高くないのかなと考えていました。

ただ、最近、実際はそうではなく、やはりデンマーク人は体と同じように心も定期的にメンテナンスすることに対する感度が高いのではないかと感じるようになってきています。

というのも、この学校は土日もしくは1~2週間の短期コースも多数実施しており、そこに参加する生徒は長期コースよりもずっと多く、かつバックグラウンドや年齢層も多岐に渡るためです。

先週末は2日間のラウンディングクラスが実施されたのですが、デンマーク各地から約20名の生徒が集まってきていました。
参加者は、2-3ヶ月以上のメディテーション経験を持つ人のみ。
つまり、すでにどこかでメディテーションを習得するためのコースを受講済だということです。

ラウンディングというのは、ヨガ(アーサナ+プラナヤマ)&メディテーションを組み合わせたものを集団で一日に何セットも繰り返すことを指し、自分の心身をリセットすることを目的にしているようです。心へのアプローチを通じ、結果的に体も緩ませることを目指したものかと思います。

そのうちの2名と話をしたのですが、どちらも自分の仕事に誇りを持ちながらも、経営者として世界中を飛び回っていて忙しかったり、アルコール中毒者のカウンセリングをする中で疲れを感じているなど、息抜きとエネルギーチャージが必要だと感じて参加したようです。

どちらも20歳くらいの子どもがおり、片方の子はすでに同コースに参加済み、もう片方の子は来月参加予定なんだとか。
その他、自身と同じくらいの年齢(20代後半~30代前半)と思われる人も複数見かけました。

ヨガ・メディテーションの効果

前述のラウンディングに含まれるヨガやメディテーションは、もちろん心の疲れにも効果的ですが、体の疲れにも効き目があります。

最初に聞いた時は信じられませんでしたが、外からの力(マッサージなど)を使うよりも内からの力(ヨガ・メディテーションなど)を使う方が、ずっと治癒効果が高いそうです。

この学校ではアーユルヴェーダの教えに基づくトランセンデンタル・メディテーションという方法を取り入れていますが、これを行うことで、なんと最も深い眠りの2倍の休息が得られるとのことです。

前述した経営者はびっくりするくらい明るくて社交的な人なのですが、ラウンディングを終えると静かな時を一人で過ごしたい気持ちになるようで、昨日の夜会った時の口調の違いに驚きました。

ラウンディング後、心が穏やかになるまでに要する時間は人それぞれのようで、一時的に溜めてきたストレスが外にどっと出てくることで苛立って人に当たりたくなったり、悲しい気持ちになって泣き出したりする人もいるようです。

「心」の健康

日本にいた頃は、ストレスを感じた時にはカラオケに行ったり飲みに行ったり誰かに愚痴を聞いてもらうなど、外に発散して解消しようとすることが多かったように思います。

体の疲れを感じたら、マッサージに行ったりエステに行ったりしてダイレクトにメンテナンスをしますが、心の疲れを感じた時に分かりやすくメンテナンスする方法があるかというと、パッと思い浮かぶものがありません。

もちろんカウンセリングなどの手段もありますが、それは「ちょっと心が疲れているな」と思った時に気軽に受けられるようなものではなく、心の病気になってから受ける医療手段だと捉えていました。

ここ数年で「リトリート」という言葉を目にする機会がぐんと増えましたが、まだまだ一般的ではありません。

「マインドフルネス」の本も売れていますが、本を読んだだけでは習得が難しいと感じて諦めている人も多いのではないかと思います。(私は数時間の講座にも参加したことがありますが、それでも身に付きませんでした…)

こちらでは、「リトリート」という言葉を口にする人が多く、多様な層が何度も週末ラウンディングに通っていることから、普段から体のメンテナンスをするように、病気にならずとも少し疲れを感じたら心もメンテナンスする、という考え方がある程度浸透しているのではないかと感じています。

それに、40代の男性クラスメイトに聞いたところ、実際ここ5年ほどでヨガやメディテーションが男性も含めてぐんとポピュラーになったんだとか。

日本で日常的な心のメンテナンスが普及しない背景には、日本における「心の疲労」への感度の低さがあるのかも知れません。

「体」の疲れは頑張りの証ある意味勲章として捉えられる一方、「心」の疲れはその人の弱さ、未熟さのように捉えられ、どこかタブー視されているところがあるように感じます。

大人の心は疲れないものなのか?

「心身の健康」に注意を向けて生活をし始めると、自分の小さな変化に気付くようになります。「今日は疲れているな」だったり、「今日は心の余裕があるな」だったり。

そして、この学校のカラーも影響してはいるものの、つらい時や悲しい時に無理して元気に振る舞う必要なんてないことが分かってきました。

体の不要物を日々外に出しているのと同じように、泣いたり怒ったりすることは、心の不要物や疲れを内に溜めこまずに放出するために不可欠な行為なのです。

日本にいた時は、人前で泣くなんて大人げないだとか、大人は常に凛として強くあらなきゃだとか、誰かに寄りかかるなんて恥ずかしいだとか思っていましたが、こちらに来てから誰かが涙を流しているのを見るのが日常茶飯事になり(笑)、何歳になっても人間は脆くて弱いもので、だからこそそれを分け合って生きていくんだなぁと思うようになりました。

それに、弱っている時にそれを隠さずにありのままに周りに共有することは、実は自分を大切にするだけの行為ではなく、周りに対する思いやりでもあるのだと最近感じます。

例えば、なんとなく落ち込んで見えるけれど無理をして明るく振る舞っている人に声をかけてそっけなく返されるとちょっと傷ついたりするけれど、「ちょっとホームシックで悲しい気分なの」と伝えておけば、周りもその前提のもとでその人とコミュニケーションをとることができるからです。

加えて、弱さが見えた方が相手に愛着が湧くし、自分が弱っている時にその弱さを受け止めてくれた相手はかけがえのない存在になるものです。

後半、「心の疲れ」に対する私自身の考えを書き連ねてしまいましたが、ようやく来週、実際に自分の心を掘り下げる方法(トランセンデンタル・メディテーション)を学ぶことになりました。

個々がマントラを授けられ、4日間ほどかけて、内なる自分を見つめることに集中します。

トランセンデンタル・メディテーションを長期コースの生徒たちが始めると、心の内に蓄積されたストレスが徐々に放出されて、その週は学校全体に独特の重い空気が漂うんだとか(笑)

まだ体験していないので正直その過程や効果に懐疑的なところもあるのですが、またとない機会であることは間違いないので、オープンマインドで飛び込んできたいと思います。

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