30歳を目前にした私がフォルケホイスコーレ留学に踏み切ったワケ

      2020/06/21

こんにちは、ERIです。
2017年秋にデンマークの成人教育機関フォルケホイスコーレへの留学を決めるまでの軌跡と、留学先で考えたことについてお伝えします。

フォルケホイスコーレ留学を決めるまで

幼少期に国籍の異なる人達に囲まれて育ち、”他人と自分はこんなに違うんだ”と純粋な感動を覚える機会が多かったせいか、自分のアイデンティティやその人ならではの個性といったものにずっと興味を持って生きてきました。
でも、日本で長く集団に属していると、暗黙のもの含め無数のルールにしばられて、いつの間にか違いを憎んだり、自分自身を曲げてまで集団に溶け込もうとしてしまうようになり、自分が大事にしてきた信条のようなものがどんどん崩れていく感覚がありました。
他者と上手くやっていくことと自分を大切にすることが共存しえない気がして、もういっそ誰にも頼らず一人で生きる方が楽なんじゃないか、と考えたこともありました。

そんな生きにくさを感じていた頃、ひょんなきっかけでデンマークのフォルケホイスコーレ(※)を知り、なんとなく、でも強く惹かれる何かを感じました。
そこから夢中でフォルケホイスコーレに留学経験のある方のブログを読んだり、お話を伺いに行ったりしたのですが、
「他者の中で生きる自分を見つめ直す」「自分自身と向き合い、本当の豊かさを考える」といったキーワードが共通しており、そんなリトリートな時間を過ごしたいという気持ちを強めてきました。
※フォルケホイスコーレは、デンマークに70校ほどある、豊かな人生の生き方を考えるための大人の学校です。

フォルケホイスコーレでの日々

デンマークの北の端の何もない海辺の街で、初めて出会う、何の共通点もない老若男女に囲まれて送った共同生活。
何の肩書も意味を持たない中、デンマーク語も話せず、デンマークで日常生活を送るための知識も十分でなかった私は、プライドも今までの自分のやり方も全て脇に置いて、丸裸でデンマーク人たちと向き合い、関係を築くしかありませんでした。

医者に予約を一本入れるのにも自動案内が理解できないので人に助けてもらわないとならない。
洗濯機の表示もデンマーク語なので、それすら誰かに使い方を教えてもらわないと動かせない。
授業や団欒中に会話が英語からデンマーク語に切り替わってしまったら、全体の流れを止めて再度説明を求めるか、誰かに通訳をお願いしないといけない。

元々人を頼ることが苦手な私にとって、まだ心の通っていない誰かに日々助けを求めるのは勇気のいることでした。
しかし、その中で嫌な顔をされたことは一度もなく、むしろその後も困っていることがないか気にかけてくれるようになったり、それをきっかけに交わす言葉が増えて仲が深まったりして、逆に人の愛を感じるきっかけになりました。
それを繰り返すうちに、自分からも躊躇なく車椅子を使う人へのサポートの申し出や、落ち込んでいる人への声かけなどをするようになり、その中で感じられる人の温かさに逆に励まされたことも何度もありました。
そしてそんな日々を過ごす中で、人の弱さに触れること、自分の脆さをさらけ出すことへの抵抗が徐々に薄れ、それも含めた互いを大切にすることを覚えていきました。

他者との関わりを時に煩わしく感じることもあるけれど、私たちが一人でできることはあまりに少ないし、それ以上に、私たちはつながりを感じ、愛情を循環させることで初めて自分の存在意義を感じられるのかもしれない。そう感じさせられる毎日でした。

そして、正解はもちろん、暗黙のルールや参考になる多数派の行動といったものもない中で、日々当たり前に問われる「あなたはどうしたい?」。
ずっと求めていたはずの自由を手に入れて感じたのは、誰かが自分のために意思決定してくれる(あるいは暗黙の”正解”が存在する)のがどんなに楽なことだったかということです。

アートのクラスを取るか、アーユルヴェーダのクラスを取るか。
夕食後に団欒を続けるか、部屋に戻ってブログを書くか。
体調が悪い中一度しかない授業に出るか、部屋で体を休めるか。
クラスメイトが計算を間違って返してくれないお金を諦めるか、自分の計算を伝えるか。

どんな小さな選択も、失うものなしには下すことができず、その一つ一つの選択の積み重ねが自分の未来をつくる。
それを理解したうえで責任を持って意思決定することが、本当の自由なのだと合点が行きました。
習慣が抜けず、つい相手や周りの様子をうかがってそれに合わせる形で意思決定をしようとする度、すかさず「私に合わせなくていいよ」「”rude”にならないようになんて考えなくていいんだよ」という声が飛んできて、その優しい言葉の裏にある「自分自身の選択に責任を持ちなさい」というメッセージにハッとさせられました。

 

デンマークで過ごした4ヶ月の間、もちろんこの学校のテーマであるアーユルヴェーダや瞑想についての知識も得られました。
ただ、私にとって何より大きかったのは、留学前に抱いていた「他者の中で生きるとは?」、「本当の豊かさとは?」という疑問について、答えの片鱗を手に入れたように思えることです。


私が尊敬し、心から愛してやまないデンマーク人の美点は、
・自分をよく理解し、自分がハッピーでいるために臆さず環境や人に働きかける点
・ラベルにとらわれず、生まれたままの他者を見つめ、無条件に愛する点
です。

そんな彼らに囲まれて過ごした日々は、暗黙の”正解”に合わせようと、自分が奥底に鍵をかけて長年しまい込んでいた弱くて脆い部分も含めたありのままの自分を肯定し、自分の人生に責任を持って切り拓いていこうと決意するきっかけとなったように思います。

 - デンマーク留学 ,